今こそ「経営者の視点」が必要

~前書きに代えて~

日本の景気がちっともよくなりません。
バブル崩壊後の景気低迷は「失われた10年」と言われました。でも、もう10年どころではありません。20年も経ってしまいました。20年! 赤ん坊が成人になる年数です。
ということは、今年ハタチになった成人は、ずっと不景気な子供時代を送ってきたことになります。そう考えると、彼らはオトナたちの無策の犠牲者と言えるかもしれません。
景況感は、ここに来て、さらに悪化しています。今度は世界的な規模です。リーマンショック以降、世界経済はガタガタ。ギリシャが大騒ぎになったのは、ついこの間の事でした。
そして、わが日本。円高や株価低迷で、先行きの不安は増すばかり。バブル時代に日経平均株価が4万円近くあったなんて、今や冗談としか思えません。

まさに「国難」と言える状況ですが、この国の政治は、未だ有効な手を打てないでいます。特に、昨年(2009年)夏の政権交代以降のていたらくは目をおおうばかり。昨今は民主党の無策ぶりを非難する声が多いようですが、仮に自民党政権が続いていたとしても、分かったものではありません。でも、ちょっと考えてみてください。これまで、政治が経済に対して有効な手立てを打てたことが、果たしてどれくらいありましたか?

政治家に足らないのは「経営感覚」

経済政策がことごとくうまくいかない最大の原因は、今の政治家たちに「経営者」としての視点と感覚が欠けていることです。「国家を経営する」という意識がない、つまり「国を経営できる社長」がいないのです! 経営者出身の政治家はたくさんいる? 確かにそうでしょう。でも、経営の第一線からは離れて久しいはず。その感覚は、かなり錆びついているのではないでしょうか。

「経営感覚の欠如」という点では、経済学者や評論家も同じ。経済は机上の理論通りに動くものではありません。実践が大事……と言うより「実戦そのもの」なのですから。

そこで、私「青豆天吾」が「今こそ経営者の視点に立つ景気浮揚策を提示すべき時」と書き上げたのが、これから述べる経済論です。この青豆天吾、20年近く企業を率いている現役の経営者です。大きな会社ではありませんが、経営の最前線で戦ってきた経験と実績は、巨大企業の経営者にだって引けは取らないと自負しています。

それを踏まえた上で考えた、政治家や経済学者では分からない「本当の景気浮揚策」を提案しようと思うのです。その中には、猛反発を食らうような「劇薬」もあります。しかし、批判が来るのは百も承知。劇薬も適切に使えば、これ以上ない「特効薬」になるのです。ただ怖がっているだけでは、景気回復なんて「夢のまた夢」です。

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