第13章◎子供を産んだら一生減税せよ

前章で述べた矛盾を解決するにはどうしたらいいか……結論を先に言いましょう。
「子供を産み、育てた人には一生涯の減税をせよ!」
これが私の提唱する解決策です。短期的な「子育て支援」程度では、大した効果は望めません。もっとインパクトのある、抜本的な「少子化対策」が必要です。それには、子供の有無で課税を区分けするのが、最も有効な方策だと私は考えます。

最も簡単なのは、所得税率に差をつけることです。しかし、それだけでは「生涯減税」になりません。リタイアした後(つまり無収入になってから)も差をつけることができる方策が必要です。考えられるのは、消費税と相続税でしょう。
例えば、高額な物品の購入については、消費税率に差を設けるのです。子供を産み育てた人は税率を低く、子供がいない人は税率を高くする。自動車はもちろん、土地や家屋といった不動産、また旅行の料金などの消費税率を高くするのもいいかもしれません。
相続税も、配偶者間の相続には控除でなく、子供の有無で税率に差を設けることが有効だと思います。夫が先に死んだ時、子供を育てた妻は多く受け取れるようにし、子供を育てなかった妻には高い相続税を課して、遺産が少ししか残らないようにするのです。
いずれにしろ、社会がこれだけ「おカネ大好き」になってしまったからには、人々の意識を「子供を産んだ方がトク」という方向に導かなければ、少子化は止まらないと思います。

貢献した人に報いるのは当然

ヒトが社会生活を営む生き物である以上、子供を産み育てることは「役割」だと思います。「義務」とまでは言いません。産む産まないは、それぞれの自由ですから。しかし、この国を未来永劫持続させるためには、将来を支えてくれる子供たちの力が絶対に必要です。その“未来の担い手”を産み育てるという重要かつ大変な「役割」を果たした人たちに、国が何らかのカタチで報いるのは当然ではないでしょうか。少なくとも「役割」を果たさなかった人たちに、過度に気を遣う必要はないと思います。

理不尽と思いますか? でも考えてみて下さい。会社員なら、勤務先の業績アップに貢献した人が、高い給与をもらったり出世したりしても、だれも文句は言わないでしょう(妬みはあるかもしれませんが)。所属する組織の中で、自分の「役割」にどう向き合うかは各人の自由。しかし、しっかり「役割」を果たし、組織に貢献した人には、それに見合う待遇で応える……「経営者」の視点に立てば、極めて当然のことです!

ただし、役割を果たそうとしてもできない……具体的には「子供が欲しいのにできない」という夫婦への配慮は最大限必要でしょう。「不妊治療」などは原則無料化すべきです。
一方「カネ欲しさに子供を産む」という風潮が生まれることには、十分注意しなければなりません。厳罰を用意することです。

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